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【院長 つれづれに】暁の石巻を走る

東日本大震災から今日で10年。震災から3年が経った2014年の11月、医師会の役職に就いていた私は視察団の一員として石巻を訪れた。

暁の石巻を走る

窓越しに見える街はまだ暗い。暖かい部屋で入念にストレッチを行い、覚悟して表に飛び出てみたが思ったほど寒くはない。ランニングシューズの紐を結び、GPSウォッチのスタートボタンを押し、ゆったりとしたペースでホテルを出た。白み始めた石巻の街に人の気配はなく、代わりに路地裏から猫が飛び出してきた。

街を抜けて石ノ森漫画館を通り過ぎ、旧北上川中州で行き止まると、その先に大きな橋が見えた。橋は“あの日”のすべてを見ていたに違いない。中州を折り返し、橋を目指してペースを上げた。

ホテルから走ること約4km。河口に架かる日和大橋の急勾配を一気にてっぺんまで登り切ると、思った通り灰色の海が一望できた。振り返ると、厚い雲の下に暁の街を見ることができる。壊滅的被害を受けたかつての市立病院は跡形もなく取り壊され、周囲の瓦礫は撤去され、無機的な空き地として黒いシートが被されていた。海と街を交互に眺め、“あの日”を想像してみた。胸が締め付けられる思いがしたが、その事実を受け止めなければ未来は訪れないと思った。一つ大きく息を吸い込み、帰路ホテルへとまた走り出した。

前夜、石巻市医師会の升会長をはじめ九門副会長や他の先生方の厚いおもてなしと温かい心に触れ、石巻の黎明と息吹を感じた。過去を変えることはできないが、未来は変えられる。そう強く感じた。新市立病院は駅前に再建され、二年後の夏に開院されるそうだ。止まった時計は間違いなく動き始めている。未来へ向かって。

2014年11月 葛飾区医師会 総務部理事 松岡洋一郎